消防査察で痛い目にあったビルオーナーの話

消防査察で痛い目にあったビルオーナーの話

今日は、建物が消防法違反になるプロセスについてお話しします。

この話題について理解できる人はかなりのマニアです(笑)。

私の現役時代の経験をもとにお話しします。

最近、久しぶりに訪れた雑居ビルがありました。

消防の仕事と言えば、火を消したり、救急患者を救助したりといったイメージが一般的ですが、実際には事務作業も重要な役割を果たしています。

消防事務には、消防設備の検査や法令違反の処理、危険物の許認可などが含まれます。

その中でも「査察」と呼ばれる作業があり、これは建物を消防法と照らし合わせて検査することを指します。

査察の頻度は消防本部によって異なりますが、通常は定期的に行われます。

私の所属する消防本部では年に一度程度行われます。

査察には通常、ビルの関係者も立ち会いますが、彼らは普段から忙しいため、あまり機嫌が良いとは言えません(笑)。

今回査察を受けたのは、7階建ての雑居ビルで、昨年までは事務所として利用されていました。

事前の連絡で関係者に「昨年と変更があったか」と尋ねたところ、「特に変更はありません」との回答がありました。

査察当日、ビルの外観に変化は見られませんでしたが、1階と2階に飲食店がオープンしていることが判明しました。

複合用途ビル

査察は約30分で終了し、行政側から「この建物には自動火災報知設備と屋内消火栓が必要です」との指示がありました。

関係者は「了解しました。速やかに対応します」と応じましたが、数日後、関係者から「これまで問題なかったのに、いきなり消防が何を言っているのか」との怒りの電話がありました。

その怒りの理由は明白で、消防設備の設置費用が非常に高額だからです。

数十万円では済まず、数百万円から数千万円かかることもあります。

これは珍しいことではなく、日常的な問題です。

そもそもこの問題が発生した原因は、単に1階と2階に飲食店が入ったことにあります。

飲食店は改装に多額の費用をかけており、そのまま撤去するわけにはいかず、結果として高額な消防設備の設置が必要になりました。

消防法令は非常に複雑であり、場合によっては変化していきます。

これは法律自体が変わるというよりも、その解釈や適用が変わるという意味です。

所有者や占有者、不動産業者、建築関係者などは、このような問題を未然に防ぐために、事前に専門家に相談し、適切な対策を講じる必要があると言えるでしょう。

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この記事を書いた人

消防行政に30年間従事し、消防法違反処理、消防設備など消防予防査察の専門として従事していました。日本防災協会に講師として登録し、防火管理者の講師としても活動しています。

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