高齢化マンションの防火管理者代行~防火安全の維持に苦労する実際の事例~

今回の事例は、広島市内にある築40年以上のマンションで、住民の多くは高齢者です。

年齢層が高いため、居住者の中から防火管理者を選任することが困難でした。

このマンションは、建設当初からの住人が多く、年齢は平均70代後半。

引退して悠々自適に過ごしている方が多い一方で、最近は体力的にも管理業務を引き受けることが難しくなってきていました。

マンション管理組合は、消防署から防火管理者の選任が義務であるという通知を何度も受けていましたが、誰も名乗りを上げることがありませんでした。

消防署からの指導も受け、管理組合は焦りを感じていましたが、結局どの住民も防火管理者を引き受けることに不安を抱えていたのです。

目次

防火管理者選任の難しさ

防火管理者の選任は、消防法により義務付けられており、一定規模のマンションやビルでは必須です。

防火管理者は、火災が発生した場合に備えて防火設備の管理や消防計画の作成、避難訓練の実施を担う責任ある役割です。

しかし、今回のマンションのように高齢化が進むと、以下の理由から防火管理者の選任が難航することがあります。

身体的な負担

年齢が上がると、体力的な負担が増え、特に点検や避難訓練の準備・実施など、動き回る仕事に対応するのが難しくなります。

責任の重さ

火災時の初期対応や防火体制の整備という重要な責任を負うことが不安に感じられ、誰も引き受けたがりません。

知識の不足

防火管理に必要な法的知識や技術的な知識が不足しており、教育を受けること自体が負担に感じられます。

このマンションでも、管理組合の役員が住民に何度も相談しましたが、どの住民も「自分には無理だ」と断ってしまい、防火管理者の選任が滞っていました。

建築消防設備サポートセンターへの依頼

そんな状況を打開するため、マンション管理組合は外部の防火管理者代行を検討し、最終的に私たち建築消防設備サポートセンターに依頼を決めました。

代行依頼により、住民が負担を感じることなく、マンションの防火管理体制を維持することが可能となります。

具体的に当センターが提供したサポート内容は以下の通りです。

防火管理者代行の選任

当センターの防火管理者資格を持つ専門スタッフがマンションの防火管理者として選任され、消防法の要件を満たす体制が整いました。

消防計画の作成・更新

建物の構造や住民の年齢層を考慮し、現実的な避難計画や消防計画を新たに策定しました。

特に、高齢者向けの避難方法や支援体制を強化し、住民全員が理解できるようなシンプルな計画を作成しました。

消防設備の点検・管理

消火器や火災報知器の定期点検を行い、必要に応じて設備の交換も手配しました。

これにより、設備が常に正常に機能する状態を維持することができ、住民の安全性が確保されました。

避難訓練の実施

高齢者が多いマンションでは、迅速な避難が難しい場合があります。

そのため、避難訓練では、歩行器や車いすを使用する住民にも対応できる避難方法を取り入れました。

さらに、訓練は定期的に実施し、火災時の初期対応に関する知識を周知徹底しました。

消防署との連携

消防署とのやり取りや指導に基づく対応を、すべて当センターが代行しました。

特に、消防署の査察時には、必要な書類や資料を整え、査察に立ち会うことで、住民が直接関与することなく、円滑に対応しました。

実際の効果と住民の反応

この防火管理者代行サービスを導入したことで、マンションでは以下のような効果が現れました。

住民の負担軽減

住民は防火管理業務の煩雑さや責任感から解放され、日常生活に専念できるようになりました。

特に高齢者にとって、身体的・精神的負担が軽減された点が大きなメリットでした。

防火体制の強化

防火管理者代行を依頼したことで、消防法に完全に準拠した防火管理体制が整い、マンションの安全性が大幅に向上しました。

消防署の評価向上

マンションの防火管理が適切に行われていることで、消防署からの評価も向上し、査察結果も問題なくクリアできました。

住民の一人は、「防火管理者を選任することにずっと不安を感じていましたが、専門の方にお願いできて本当に安心しています」と話していました。

また、管理組合の役員も「当初は防火管理者の選任で頭を悩ませていましたが、外部の専門家に依頼することで全てがスムーズに進み、住民も安心して暮らせるようになりました。」と喜びの声を寄せています。

高齢化が進むマンションにとっての防火管理者代行の重要性

今回のマンションの事例は、高齢化が進むマンションで防火管理者を選任することの難しさを示す一例です。

このような状況下では、外部の専門機関に防火管理者代行を依頼することで、安心・安全な生活環境を維持することが可能となります。

建築消防設備サポートセンターでは、住民の皆様が安心して生活できるよう、全力でサポートいたします。

高齢化による防火管理者選任の困難に直面しているマンションやビルの管理組合の方は、ぜひ一度ご相談ください。

私たちは、皆様の防火管理をしっかりとサポートし、建物の安全性を確保します。

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この記事を書いた人

消防行政に30年間従事し、消防法違反処理、消防設備など消防予防査察の専門として従事していました。日本防災協会に講師として登録し、防火管理者の講師としても活動しています。

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